PRノウハウ7
話題を作る切り口 3.社会潮流・社会問題に関連づける
今回は、社会潮流・社会問題に関連づけた情報によって、メディアに取り上げられる方法についてご紹介します。なお、今回のテーマである「社会潮流・社会問題」は、「1.社会動向・トレンド」でご紹介した内容に似ていますが、それよりも長い、1年以上にわたって続く社会の潮流や問題のことを指します。なお、厳密に区分できるものではありませんので、「1.社会動向・トレンド」と重複する部分もあります。
ここでいう「社会潮流」とは、1年以上にわたって続く世の中(政治、経済、文化、技術など)の変化のことを指します。例を挙げます。
<社会潮流の例>
・デフレ経済
・財政赤字
・物価や為替相場のトレンド
・就職市場の動向
・外国人旅行客の増加
・スマートフォンの浸透
・クラウドやIoTの進展
・人工知能(AI)の進歩
メディアではよく、このような世の中の変化に焦点を当てて、それらの影響を受ける、またはその変化に乗って(先取りして)取り組む法人や個人の動きを取り上げます。もしあなたの会社の商品・サービスが、これらの社会潮流に乗ったもの(社会潮流を先取りしたもの)であるなら、そのような文脈に位置づけてメディアに紹介すると、取り上げられる可能性が高いと言えます。
ここでいう「社会問題」とは、国内外・地域の様々な問題のことです。例を挙げます。
<社会問題の例>
・地球温暖化
・廃棄物の増加
・地震などの災害
・ウイルス性疾患の流行
・経済格差、貧困
・少子高齢化
・過疎化、地域の衰退
・食品の安全
・個人情報の漏えい
・テロ、紛争
・難民
メディアでは、このような社会問題に焦点を当てて、その影響を受ける、またはその解決に向けて取り組む法人や個人を取り上げます。もし、あなたの会社の商品・サービスがこれらの社会問題の解決につながるものであるなら、そのような文脈に位置づけてメディアに紹介すると、取り上げられる可能性が高いと言えます。
社会潮流・社会問題に関連付けた企業の話題の具体的な例として、最近では次のような報道がありました。
<社会潮流・社会問題で注目される話題(コンテンツ)の例>
・難民問題への注目が集まる中、あるアパレル会社が難民の採用枠を増やすことを発表
・LGBTの理解が広まる中、ある保険会社が同性も保険金の受取人とすることを発表
・少子化が問題となる中、化粧品販売会社が育児中の社員でも働きやすくするため
残業ゼロに取り組んでいる
・IoTの市場拡大を見据えて電機メーカーが小型センサーを開発
・地方の過疎化・高齢化が進む地域で買い物難民対策としてあるベンチャー企業が
ドローンを使った宅配事業の取り組んでいる
・食品廃棄物削減のため流通コンサルティング会社が賞味期限間近の商品の通販を開始
・少子高齢化の中、ある学習塾企業が高齢者向けデイサービス事業を展開
・従業員へのメンタルヘルス対策としてあるベンチャー企業が声でストレスなど
心の状態を認識できるソフトを開発
なお、社会潮流や社会問題に関する情報を発信する際に、企業が発信する情報に政治的な発言が含まれるケースもあり得ます。政治的な発言に対して反対の意見を持つ人もおり、意図せずとも不快に感じさせてしまう場合もあり得ます。
政治的な発言は、企業の自由であり、またアイデンティティにも関わる部分ですので、一概には言えませんが、一般的なPR・広報の考え方からすれば、政治的な発言はしない方が無難であり、政治とは距離を置き、中立的なスタンスをとることが望ましいと言えます。
著者 門脇 純